5S活動のアイデア【工場の効率化改善15のヒント】事例あり

要約
工場の5S活動(または3S活動)に関する、ポイントや注意点、アイデア、事例などをまとめてあります。
この記事は、
- 5Sを定めてあるが工場の改善につながっていない…
- 工場の改善につながる何か良い5S活動のアイデアはないだろうか…
- 5S以外で工場の改善につながる何か良いアイデアはないだろうか…
といったような方へ向けてまとめています。
あなたは、この記事を読むことによって、
- 工場の改善につながる5S活動のアイデアのヒントが見つかります。
- 5S以外で工場の改善につながるアイデア・ヒントが見つかります。
先に断っておきますが、私は5S活動の専門家ではありません。工場や倉庫のレイアウト設計の専門家です。ですが、レイアウト設計と5S活動は、深く関連する部分もあります。
私はこれまで計11棟の工場や倉庫のレイアウト設計に携わってきました。その過程で知り得た5S活動のポイントなどを説明していきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いします!
目次
5S活動のアイデア【工場の効率化改善99のヒント】
まずは、既にご存知と思いますが、念のため、5S活動とは?について、ざっくり説明しておきます。(知っているという人は読み飛ばしてください)
工場の5S活動とは
5S活動とは、工場に限らず、一般的に下記のような定義になっています。5Sは日本独自のもので、3S(整理、整頓、清掃)に残り2つ(清潔、しつけ)が付け足されたものです。

5Sとは
5Sとは、下記の5つの日本語のローマ字先頭文字「S」から定められた用語です。
- 整理(せいり:Seiri)
- 整頓(せいとん:Seiton)
- 清掃(せいそう:Seisou)
- 清潔(せいけつ:Seiketsu)
- 躾(しつけ:Shitsuke)
5S活動とは
5S活動とは、簡単に言うと、下記のような活動を行うことです。
- 整理……不要な物を捨てる
- 整頓……物をすぐ取り出せる状態にする
- 清掃……安全や衛生上の問題がない作業環境にする
- 清潔……心身の健康上の問題とならない作業環境にする
- しつけ…上記が徹底されるようにする
整理と整頓って何が違うの?
整理と整頓って何が違うの?と疑問に思う人も多いと思います。整理と整頓の意味は辞書では下記のように定義されています。
- 整理…乱れた状態にあるものをかたづけて整えること。不必要なものを取り除くこと。
- 整頓…散らかり乱れている物をかたづけ整った状態になること。
“かたづけて整える“という意味は、完全にダブっていますよね。なので、私は、整理については、ダブらない”不要な物を捨てる“という意味で捉えることにしています。
清掃と清潔って分ける必要はあるの?
清掃と清潔も微妙ですよね。清掃するから清潔になるわけで…。なので、私は、清掃は”安全や衛生面”、清潔は“健康面”という切り分けで捉えることにしています。
「しつけ」だけ色が違うのでは?
しつけ(躾)だけ、他の4つの要素と色が違います。違和感がありますよね。ですが、以外の4Sは「言うは易く行うは難し」です。
なので、5つめのSとして“しつけ”が付け加えられて、5Sという定義になっています。
5S活動のアイデアと工夫で工場改善
それでは、工場の5S活動に関するアイデアや工夫につながるヒントをお伝えしていきます。
- 5S活動(整理)のアイデアと工夫で工場改善
- 5S活動(整頓)のアイデアと工夫で工場改善
- 5S活動(清掃)のアイデアと工夫で工場改善
- 5S活動(清潔)のアイデアと工夫で工場改善
- 5S活動(躾)のアイデアと工夫で工場改善
5S活動(整理)のアイデアと工夫で工場改善
整理……不要な物を捨てる
5S活動(整理)のアイデアと工夫で工場を改善していきましょう。以下のヒントを参考にしてください。
- 不用品置き場を設置する
- 定期的に不用品の棚卸しをする
- 残数と補充をリンクさせる
アイデア:不用品置き場を設置する
明に定められた不用品置き場を設置します。
どこに捨てれば良いかよく分からないと、「あとで片付ければイイや」と、そこら辺にちょい置きをしてしまいます。そして、そのまま…。
不用品置き場には「○○の収集ボックス」など分かりやすいラベルを貼っておきましょう。
アイデア:定期的に不用品の棚卸しをする
定期的に不用品の棚卸しを行います。
長年使っておらず、今後も使う可能性がないものをいつまで残しておいても意味がありません。不用品は、貴重な工場内のスペースを潰しているかもしれません。
通常の棚卸しとは別に、不用品の棚卸しを定期的に行うようにしてみてください。
アイデア:残数と補充をリンクさせる
捨てる…という観点ではないのですが、消耗品についてのヒントです。
工場では薬品や材料など消耗品も多いです。消耗品は無くなれば補充しなければなりません。その消耗と補充をシステム化します。
システム化は、IT化できれば一番なのですが、まずは、アナログな方法でもOKです。
- 保管場所に「持ち出しノート」を添えつける。
- 持ち出し個数と残個数、持ち出し者の氏名、および、持ち出した日付を記入する。
- 残り何個になったら補充する手続きをとるといったルールを決めておく。
あとは、このライン(線)を物理的に下回ったら補充するなど、見える化対策の一環としての消費〜補充プロセスにしている工場もあります。(下記画像イメージ参照)

5S活動(整頓)のアイデアと工夫で工場改善
整頓……物をすぐ取り出せる状態にする
工場では、効率化や生産性が非常に重要です。整頓されている環境と、整頓されていない環境では、効率化や生産性が大きく異なってきます。
整頓は5S活動の中でも、最も効果が出やすい活動です。5S活動(整頓)のアイデアと工夫で工場を改善していきましょう。以下のヒントを参考にしてください。
- 箱にしまわず裸で並べる
- 種類別やサイズ別に並べる
- 5S管理シートを使う
アイデア:箱にしまわず裸で並べる
箱にしまわず放り込まず裸できていに並べます。
工場で使う工具など、使ったものは、きれいに箱の中にしまう……。は、決して悪いことではありませんが、ものによっては、箱にしまわず裸できれいに並べておく方が、効率や生産性がアップします。
アイデア:種類別やサイズ別に並べる
ものを並べる際には、種類別やサイズ別、にしてください。
また、ラベルを貼ることも忘れないでください。ココは何々の列、ココは何々の段、ココは何々のボックス。ラベルがあると無いでは、取り出し、および、片付けにかかる時間は大きく変わってきます。
あとは、色分けやイラストの要素も加えれば、さらに、分かりやすさや効率がアップするでしょう。
アイデア: 5S管理シートを使う
工場の工具などは、5S管理シート(型抜きシート、姿置きシート)を使って片付けるという手もあります。(下記画像は「5S管理シート」でGoogle検索した検索結果画面です)

5S活動(清掃)のアイデアと工夫で工場改善
清掃……安全や衛生上の問題がない作業環境にする
工場では、品質確保、および、生産性や効率化が非常に重要ですが、それよりも重要なのは、作業者の安全性や衛生面です。どんなに機械化ロボット化IT化が進んでも、人こそ財産です。
ゴミや不用品の放置が原因で大ケガに……。こぼれていた薬品が身体に触れて皮膚が……。清掃は必須です。
5S活動(清掃)のアイデアと工夫で工場を改善していきましょう。以下のヒントを参考にしてください。
- 清掃カレンダーを用意する
- 清掃マップを用意する
- 清掃当番を決める
アイデア:清掃カレンダーを用意する
清掃カレンダーを用意します。
掃除する日程を予め決めておきましょう。毎日掃除する箇所、週一で掃除する箇所、掃除の方法、それらが一目でわかるカレンダーを用意して、計画性のある清掃を行なっていきましょう。
アイデア:清掃マップを用意する
清掃マップを用意します。上記のカレンダーと対で用意しておくと良いでしょう。
○○の掃除の○○とは、ココからココの場所のことだよ。と明確に分かるようなマップを用意しておけば、勘違い等から発生する清掃し残しも起こりにくくなります。
なお、トイレの清掃も忘れずに。トイレを見れば全てが分かる……とよく言われますよね。キレイなトイレは重要です。
アイデア:清掃当番を決める
清掃当番を決めておきましょう。絶対に必要なことには強制力も必要です。それには、当番制が一番です。
進んで清掃をやりたい!と思う人は多くありません。清掃は自分にとって余計な仕事だ……と思う人も多いです。であれば、当番制にしましょう。皆平等です。
できれば、主任や課長などの役職者も清掃担当として当番に組み込んでください。全員の工場です。役付きも平社員も関係ありません。一体感のある工場にするためにも掃除は全員で!です。
なお、当番の担当者名は、清掃カレンダーに予め記入しておくと良いでしょう。そして、清掃が終わったら当番がチェックを入れるようにしておきます。
5S活動(清潔)のアイデアと工夫で工場改善
清潔……心身の健康上の問題とならない作業環境にする
清潔を保つことは、作業者の心身の健康を保つことにもつながります。不潔な工場環境で作業者が病気に……。汚い作業環境でメンタル面に影響が……。などは避けたいです。
5S活動(清潔)のアイデアと工夫で工場を改善していきましょう。以下のヒントを参考にしてください。
- 産業医や保健師のチェックを受ける
- 第三者にチェックしてもらう
- 手洗いや消毒殺菌等のルールを定める
アイデア:産業医や保健師のチェックを受ける
産業医や保健師のチェックを受けてみましょう。
自分たちの判断だけでなく、産業医や保健師といった専門家に、清潔面から見た工場の環境をチェックしてもらいましょう。
アイデア:第三者にチェックしてもらう
第三者にもチェックしてもらってください。
ここで言う、第三者とは、前述の専門家ではなく、もう少し身近な第三者のことです。工場の作業員ではなく事務室勤務の社員、または、来客や顧客、という第三者です。
清潔感に閉じず、その他のことも、第三者にいろいろと率直な意見を聞いてみましょう。自分たちのことは、自分たちが一番見えていないものです。
アイデア:手洗いや消毒殺菌等のルールを定める
手洗いや消毒殺菌等のルールをしっかり明確に定めておきます。
特に危険な薬品等を取り扱う工場では、「当然でしょ?」と思うことでも明に定めておきましょう。
5S活動(躾)のアイデアと工夫で工場改善
躾(つけけ)……整理、整頓、清掃、清潔が徹底されるようにする
ここが一番難しい「S」です。〜しましょう。〜やりましょう。〜してください。これは誰でも言えます。ですが、「言うは易く行うは難し」ですよね。
この最後の「S(しつけ)」がクリアできず0点なら、他の4つの定義がどんなに素晴らしくても、5S活動は0点です。
(整理+整頓+清掃+清潔) × しつけ = 5S効果

5S活動(しつけ)のアイデアと工夫で工場を改善していきましょう。以下のヒントを参考にしてください。
- メリットやベネフィットを明確にする
- ボトムアップ式を取り入れる
- マニュアルや掲示で標準化を推進する
アイデア:メリットやベネフィットを明確にする
メリットやベネフィットを明確にしてください。
なぜ、5S活動をやらなきゃいけないのか?
人は理由がわからないと行動しません。人はメリットやベネフィット(効果や利益)を感じないと行動しません。人は感情がワクワクしないと行動しません。理屈と命令では人は動きません。
5S活動をすることによって、皆が得られるメリットやベネフィットを明確に提示してください。自分のためにもなるんだ!と工場の皆んなが思えるようなメリットやベネフィットがベストです。
アイデア:ボトムアップ式を取り入れる
ボトムアップ式で取り組んでいきます。
トップダウンも重要です。社員を引っ張っていけないトップ(社長や工場長など)は失格ですからね。ですが、何でもかんでもトップダウンだと組織は上手くいきません。
5S活動は、会社のためだけでなく、工場の現場で一生懸命に働いてくれている作業者のために定めるものでもあります。
ですから、5S活動はボトムアップで進めていくことも重要です。社員、作業者、パートも含めて、皆の意見や思いを吸い上げてください。
工場は、作業者で成り立っていることを忘れないようにしましょう。
アイデア:マニュアルや掲示で標準化を推進する
マニュアルを完備させ標準化を推進します。
わざわざマニュアルを作らなくても…面倒くさいな……。と言わないでください、、、マニュアルの効果は以下のように絶大です。
- 全作業員への5S活動が浸透しやすくなる
- 5Sに関する同じ説明を繰り返さなくて済む
- 全作業員の5S活動レベルが標準化される
また、いつも目につく場所に、5Sに関する掲示板やポスターの張り出しも非常に効果的です。
工場の5S活動アイデア事例
ここで、工場の5S活動事例(または3S活動事例や6S活動事例など)をいくつか紹介しておきます。
- 大企業の日本電産グループの6S活動
- 金型製造の枚岡合金工具の5S活動
- 製缶・板金加工の山田製作所の3S活動
- バネ製造の沢根スプリングの6S活動
大企業の日本電産グループの6S活動

日本電産グループの6S活動は、「健康投資」という大きな枠組みの中に位置付けられています(Nidec戦略マップ)。
日本電産は大きな会社組織なので、このアイデアは参考にならない部分もあるかもしれません。ですが、「健康投資」という捉え方は非常に興味深いです。参考にしてみてください。
金型製造の枚岡合金工具の5S活動

ここからは中小企業の工場の紹介です。まず、工場の5S活動事例として外せないのが、枚岡合金工具株式会社さんです。
枚岡合金工具は、なんと「5S活動と3S活動の手引き by 枚岡合金工具」という5Sに特化したWEBサイトまで作成して公開しています。
さらに、「工場見学」や「3S実践テクニック講座」を開催するなど、5S活動と3S活動のスペシャリスト工場というポジションを築いています。すごい!
製缶・板金加工の山田製作所の3S活動

山田製作所さんの3S活動も有名です。こちらも「工場見学」を開催しています。前述の枚岡合金工具と同様、他の工場の向上のためにと、3S(または5S)ノウハウをどんどん公開しています。素晴らしい!
バネ製造の沢根スプリングの6S活動

こちらは、BCP(事業継続計画)に関する記事ですが、沢根スプリングさんは、BCPに取り組むと共に、6S活動(5S+1S習慣化)に取り組んでいます。
地震の多い国である日本では、このように、BCPと合わせた5S活動としていく必要もあるのかもしれませんね。
工場の5S活動に加える24種類の「S」候補
先の事例でもあったように、5S活動に止まらず、6S活動、7S活動〜10S活動という独自の定義を付け加えて活動している会社も存在します。
多ければ良い……ってわけではないのですが、あなたの工場も、1つか2つ独自の要素を追加し、他の工場とは一味違うといった差別化を試みてみるのも良いかもしれません。
以下に、他の「S」要素(一部は無理矢理Sに関連づけてますが…)を列挙しておきます。独自性を生み出すヒントにしてください。
5Sに加えるアイデア要素集
- さ(Sa)…作法、殺菌、参加、最高、最短、再確認、再利用
- し(Si)…習慣、省エネ、しつこく、しっかり、慎重、信頼、シナジー
- す(Su)…スマイル(笑顔)、スパイラルアップ(好循環)、スタディ(教育)、素直、素早く
- せ(Se)…正確、セーフティ(安全)、説明、責任、節約、洗浄、設備
- そ(So)…創意工夫、相乗効果、即決、即実行、創造
工場の5S活動の注意点
“しつけ”の項目でも述べましたが、5S活動をしましょう。〜やりましょう。〜してください。ここまでなら誰でも言えます。ですが、「言うは易く行うは難し」です。
残念ながら、形だけの5S活動、言うだけの5S活動で終わっている工場は少なくないようです。
声高らかに5S活動を叫んでいても…
うちの5S活動は!うちは8S活動だ!いや10S活動だ!と経営者や工場長が声高らかに叫んでいても、すべての「S」について作業者全員が説明できなければ意味がありません。
- 「えっと、、、あとの“S”は何だったけ???」
- 「え?なぜこの5S活動をしてるかって?えっと…それは…」
- 「なぜ、5Sをしなければならないの?」
- 「忙しいのにぃ…5Sで何かよくなるの?」
もし、こんなことしか言えない作業者がいるのなら、当然、5S活動は上手くいきません。
でもこの場合、
作業者に責任はありません。作業員に5Sを浸透させられていない、社長、工場長、上長に責任があります。
作業者に責任を押し付けていませんか?上が変わらない限り下は絶対に変わりません。
5S活動をしているはずなのに……
- 箱には片付けてるが乱雑に放り込まれているだけ…
- 不用品が安全通路の境界線上に放置…
- 監査がある時だけ皆で焦って掃除したり片付けたり…
こんな事態になっていませんか?
5S活動は定義して終わりではありません。やっていればそれで良いというものではありません。まだまだ改善の余地があるのでは?効果が出るまで改善と継続を続けてください。
関連記事
➡︎ 工場の安全通路の決まり【通路幅は?目安何cm?照度は?等】
工場の5S活動を促進する究極のアイデア
最後に、工場の5S活動を促進する究極のアイデアとして、私の方からある1つの方法を提案しておきます。
これは、少し大掛かりな作業を要するので、どんな工場にも有効となる提案ではありません。ですが、ケースによっては大きな効果をもたらすことのできる方法です。
それは、工場のレイアウトの見直しです。
もし、工場の移転、工場の改築、工場の新設、などの機会があれば、5S活動も意識した上でのレイアウト設計にすることで、より効果的な5S効果が見込めます。
なかなか、新設や増設といった、そういう機会は訪れないかもしれませんが、もし機会があれば、工場レイアウトにも目を向けてみてください。
関連記事
➡︎ 工場レイアウト設計の成功パターン【プロジェクト体制編をわかりやすく解説】
まとめ
以上、「5S活動のアイデア【工場の効率化改善15のヒント】事例あり」を説明してきました。少しでもあなたのお役に立てたなら幸いです。
5S活動で、あなたの工場が、より良い工場になりますように。
参考
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