工場レイアウト図 書き方 2D Auto CAD完全ガイド(実例図付き)
工場レイアウト図 書き方 2D Auto CAD完全ガイド(実例図付き)
目次
要 約
2D Auto CADを使い工場レイアウト図の書き方に関する、ポイントや注意点、アイデア、事例などをまとめてあります。
この記事は、
- CADを使って工場レイアウト図の書き方が分からないんです…
- 工場レイアウト図の書き方の手順が分からなくって困ってます…
- 工場レイアウト図の書き方の実践的で確実な手法を教えてほしい!
といったような方へ向けてまとめています。
あなたは、この記事を読むことによって、
- 工場レイアウト図の書き方のポイントを全て知ることになります。
- 工場レイアウト図の失敗を事前に回避できます。
- 足踏み状態から前進していくことができます。(既に工場レイアウト図を書き始めて、停滞中の人)
私は、これまでに計11棟の工場や倉庫のレイアウト設計に携わってきました。
その過程で知り得た工場レイアウト図の書き方のポイントなどを、わかりやすく説明して行きたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いします!
工場詳細レイアウト図のサンプル(Auto CAD)
今回、次図の様な工場詳細レイアウト図を2D Auto CADで書く、実践的な完全ガイドです。
準備すべき資料
作図する前に次の資料を準備する必要があります
1.建築図面
平面図
敷地図面
2.生産設備データー
3.空調設備
4.ユーティリティー設備
5.電気設備
AutoCADの基本設定
使用するCADは、Auto CAD2007です。
最新のAuto CADとアイコンや機能が異なりますが、基本的な操作は同じです。
作図する前にAuto CADの基本設定を行います。
作図の基準単位と精度の設定
AutoCADの基本単位をメートル単位に変更する必要があります。
メニューバーの「形式」→「単位管理」を開き、次の単位管理の画面で設定します。
長さ タイプ:十進表記 精度:0.0
角度 タイプ:度 精度:0.0
挿入尺度:ミリメートル
に設定します。
画層(レイヤー)の設定
画層とは透明なスライドのようなものです。
「寸法」「文字」「外形線」「破線」……といったように個別にスライドを作成していき、重ねて1枚の図面を構成していく機能です。
画層の作成方法
メニューバーの「形式」→「画層管理」を開き、画層プロパティ管理の画面で設定します。
画層プロパティ管理画面で
画層名
線色
線の種類
線の太さ
画層の説明
を設定します。
工場レイアウトの作図で必要な画層は次の表になります。
工場レイアウト図の作図では、生産設備、建築関係、空調設備、ユーティリティー設備、電気設備、
その他に分けて画層を設定する必要があり、そのため画層数が多くなっています。
関係する画層が並ぶように先頭に数字のコード付けてあります。
線種の設定
メニューバーの「形式」→「線種設定」を開き、線種管理の画面で設定します。
線種は
CENTER(一点鎖線)、
DASHED(破線)
PHANTOM(二点鎖線)
が通常使用されています。
グローバル線種尺度:100
(今回工場のサイズは約100mX50mのため100に設定)
印刷する時の縮尺に合わせると、線の間隔が正常に印刷されます。
文字スタイルの設定
メニューバーの「形式」→「文字スタイル管理」を開き、文字スタイル管理画面で設定します。
書く文字の種類により設定を行います。
通常は次の3種類の設定です。
一般注釈文字
スタイル名:txt
SHXフォント:romans.shx
ビッグフォント:extfont2.shx
幅係数:1.0
寸法文字
スタイル名:dim
SHXフォント:romans.shx
ビッグフォント:extfont2.shx
幅係数:0.8
表題文字
スタイル名:hyoudai
フォント名:MSゴシック
幅係数:1.0
寸法スタイルの設定
メニューバーの「形式」→「寸法スタイル管理」を開き、寸法スタイル管理の画面で設定します。
最初に
スタイル名:ISO-25
新しいスタイル名:1-1
に設定します。
次に各タブで個別に設定します。
1.寸法線タブ
並列寸法の寸法線間隔:8
補助線延長長さ:1
起点からのオフセット:2
2.シンボルと矢印タブ
矢印スタイル:開き矢印
矢印のサイズ:2.5
3.寸法値タブ
文字スタイル:dim
文字の高さ:3.5
寸法線からのオフセット:0.5
4.フイットタブ
フィットオプション:寸法値、矢印のいずれか
寸法値の配置:
寸法値を移動すると寸法線も移動する
全体の尺度:1
テンプレートとしてファイルを保存
AutoCADの基本設定されたデーターが、テンプレートのファイルになります。
このテンプレートを保存しておきます。
次回、作図する場合、各種の基本設定された状態で、直ぐに作図を開始でき、
効率的で、統一されたスタイルの図面ができます。
工場詳細レイアウト図の作図方法
工場間仕切図の作図方法
AutoCADでは、原寸で書くモデル空間とA3用紙などに縮尺して書くペーパー空間があります。
工場レイアウト図は、モデル空間に切換えて原寸で書きます。
最初に、工場レイアウト図のベースになる間仕切図を、次の順序で作図していきます。
柱の通り芯の作図
既設の工場レイアウト図の場合は、建築業者のCADデーターを使い作図します
先ず、工場棟の基準となる柱の通り芯を書きます。
今回の工場のサイズは横112.5m縦52mです。
画層を柱に切換えて、長さ約75mの一点鎖線を縦方向12.5m間隔で11本書きます。
次に、長さ約165mの一点鎖線を横方向13m間隔で5本書きます。
更に、柱記号と寸法を記入します。
その部分図の事例です。
全ての柱芯を書いた柱の通り芯の全体図の事例です。
柱の配置
次に、画層は柱に切換え450mm角の柱を書きます。
内側は黒色のハッチングと周囲に少し出た中心線を書きます。
この柱を柱通り芯の各交点にコピーと貼付けで書いていきます。
柱を配置した全体図の事例です。
壁・間仕切の作図
次に、壁の基準となる壁芯を書きます。
壁芯を画層:壁芯
線種:一点鎖線
線色:ピンク
で書きます。
壁芯の部分図の事例です。
壁芯の全体図の事例です。
壁芯を基準にして、壁と間仕切を作図します。
壁の内側も黒色で塗りつぶし(ハッチング)にします。
ドアや窓、シャッターなどの建具を配置します。
壁の部分図の事例です。
工場全体の間仕切図の事例です。
見やすくするために、柱通り芯と壁芯の線は、非表示にしてあります。
トイレ・衛生設備の配置
トイレ、洗面台、給水機など衛生設備を配置します。
関連業者のCADデーターを使い作図します。
電気設備の配置
分電盤(トランス」)などの電気設備を配置します。
関連業者のCADデーターを使い作図します
ユーティリティー設備の配置
コンプレッサー、真空ポンプなどのユーティリティー設備を配置します。
関連業者のCADデーターを使い作図します。
空調機設備の配置
空調機設備などを配置します。
関連業者のCADデーターを使い作図します。
工場を建設した建築、空調、電気、ユーティリティー設備の業者からCADデーターをもらい、合成して作図します。
全体の間仕切図の事例です。
関連業者からのCADデーターを活用することです。
生産エリアの作図
工場の間仕切図に、生産に関係するものを配置して、作業エリアの詳細レイアウト図を作図します。
詳細レイアウト図に記入すべき項目は次の順序で作図して行きます。
1.生産設備の配置
生産設備は、形状を現わす外形線図だけ作図し、内側は空色の塗りつぶし(ハッチング)にします。
2.付属設備の作図
生産設備につながるコンベアなど付属設備を配置します。
3.什器の作図
作業台、保管棚などの什器類を配置します。
4.作業者の配置
生産設備を操作している作業者を色分けして配置します。
5.仕掛品の配置
生産設備の近くに一時保管される仕掛品を配置します。
6.完成品の配置
一時保管される完成品を配置します。
生産ピーク時の保管必要スペースを考慮しておきます。
7.副資材の配置
生産設備に供給される材料や副資材を配置します。
8.物流機器の配置
フォクリフト、パレットなどを配置します。
9.作業通路の作図
作業通路、作業エリアのラインを作図します。
作業通路幅についてはこちらをご覧ください。
工場の安全通路の決まり
10.部屋名の記入
作業場の部屋名、作業エリア名を記入します。
「詳細レイアウト図」は設計図に相当し、種々の必要な設備、情報が描き込まれます。
次図が作業エリアの詳細レイアウト図の作図事例です。
生産エリアの全体図の事例です。
倉庫エリアの作図
今回の事例は、製品、副資材を大量のパレットを立体自動倉庫に保管するスタイルです。
立体自動倉庫、パレット、トラック、倉庫事務所を配置します。
トラックは軌跡を書いて作業範囲を確認します。
倉庫アリアの作図事例です。
アメニティ施設の配置
アメニティ施設(食堂、厨房設備、リフレッシュ―コーナー、シューズロッカー、更衣室)を配置します。
アメニティ施設の作図事例です。
間接部門の配置
間接部門関連の施設を配置します。
エントランスホール
総務部門
社長室
生産管理部門
会議室
応接室
などを書きます。
間接部門関連の配置事例です。
工場詳細全体レイアウト図
工場詳細全体レイアウト図の事例です。
敷地レイアウト図
敷地境界CADデーターを使い敷地全体図を書きます。
工場棟
駐車場
緑化エリア
調整池
出入りの門
周辺の道路 などを配置して敷地レイアウト図にします
次図が敷地レイアウト図の事例です。
まとめ
工場レイアウト図が、詳細図として可視化されると、自分たちの職場がどのように計画され実施されるのか、
関係者が非常に関心を抱きます。
そのため、関係者から具体的な改善点、要望などの意見が多く出てきます。
それを工場レイアウト設計に反映し、ブラシュアップして、貴方の工場の最適な工場レイアウト案になっていきます。
以上、「工場レイアウト図の書き方」を説明してきました。
少しでもあなたのお役に立てたなら幸いです。
工場レイアウト設計で、あなたの工場が、より良い工場になりますように。
参 考
工場の新設や拡張や模様替えで、工場のレイアウトを考える必要が出てきた場合、
まずは、下記の「やさしい工場レイアウト手法」のメール講座がおすすめです。
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